目をつぶると今も単行バックで駆け下りてくる姿が蘇る
上諏訪機関区のC-12。このC-12は構内の入れ替え専用だが時には夏季、茅野から電気機関車EF-64が引く満員の旅客列車の最後尾を補機として押すこともある。後押しの仕事を終えて富士見駅から単行バックで駆け下りてくるときの速いこと速いこと!ドラフト音もブラスト音もしないから、ただ「カタン、カタン、カタカタカタン!」と乾いた音を響かせながら矢のように下りてくる。現在は茅野駅東口駅前ロータリーに展示され永年勤続の疲れた体を休めている。目をつぶると八ヶ岳と入道雲を背景に客車を押して上る雄姿や単行で引き返してくるときの軽やかな音が今も蘇る。