ji-iのんべえ爺さん自転車に乗る

ちょっと飲んでは走り、走っては飲む爺です....が、最近医者に止められて飲めなくなりました

兵どもが夢のあと~奥多野館

橋を渡って左に回り込むと玄関が現れる。久しぶりに見た玄関、なんという散らかりよう、朽ち果てた遺跡の如き変わりように言葉もない。

いつかもう一度来ようと楽しみにしていた奥多野館の変わり果てた姿に眩暈がしそうだ。昔の面影を残していて欲しかったが詮無いことのようだ。

1996年に廃業してから今年で27年も経つ、仕方のないことだろう。

久しぶりに来た奥多野館

爺の想い出の中にある浜平鉱泉はうだつから青い煙をたなびかせ、

囲炉裏があって、ブチという白い猫が虫と戯れ、

欄間に大きなヤマメの魚拓が飾ってあり、

開けっ放しの玄関から両手一杯に山菜を抱えて帰ってきた女将さんが見える.....そんな宿だ。

女将さんが山菜を抱えて帰ってきそうな玄関

玄関先に自転車を立て掛けてみる。あの時と全くと云っていいほど変わらない自転車だ。

思えばこの玄関先で親父さんに切れたシフトケーブルを直してもらったのだ。

あの時もたしかにここに立っていたのだ。

ケーブルを洗う塩酸の匂いまで漂ってきそうだ。

想い出は帰らない。それが切ない。

切れたシフトケーブルを直してもらった玄関

いつまでも感傷に浸っていてもしようがない。

もう二度と来ることはないだろう。

後ろ髪を引かれる思いで奥多野館を後にした。

二度と来ることはないだろう奥多野館

神流川の段丘を越えて表通りに出れば時期は少し遅いがオドリコソウが咲いていた。

この花もいつか想い出に色を添えてくれるだろう。

立ち去るときに見たオドリコソウ

       ★テントを張ったような山が見える★
だいぶ時間が押してきた。もう夕暮れ時だ。夕方の光量の乏しい時間帯であらゆる物のコントラストが低い。

楢原郵便局から1,3km進むとテントを張ったような山(カイト山)が見えてくる。

テント型の山と右隅の自転車が判別できるだろうか?。

これ以上右に寄れなかった 右上にテント型のカイト山が見える

 

ちなみに1968年に来た時はまだ午前中で陽がしっかり射しておりカイト山の色もきれいに出ている。

家々の屋根、壁などしっかり手入れされているようだ。現在の写真と見比べても古さを感じない。

1968年のカイト山(テントを張ったような山)