今でもかじかんだつま先の冷たさを覚えている
峠から小菅方面を眺めていると冷たい北風がピューピュー吹いてきて汗ばんだ身体から容赦なく体温を奪っていく。奥多摩湖では無風だったので、じっとしていればそれほど寒くはなかった。しかしここは寒風吹きすさぶ標高870mの峠だ。積雪だって20cmはある。周りを見渡しても何もないし峠を示す標柱もない。ただの殺風景な切通しだ。面白くもなんともない。取り敢えず腹ごしらえと思うも一面の雪で座れない。立ったまま凍ったオニギリを二つ胃袋に放り込む。たった一人で何しに来たんだろう?。バカじゃないのか?と自分を嗤うもう一人の自分がいる。寂しさとやるせなさで胸が張り裂けそうだ。